へヴィメタルってどんなの?

元々は麻薬中毒者に対するスラングだった

LOUDNESSが世界的に有名になったのは、日本でそれまで売れることはないだろうといわれていたヘヴィメタルという音楽を取り入れたこと、そしてその音楽性が当人達の努力を証明する様にして、耳の肥えた海外ユーザー達を唸らせる至高の音楽を作ったことで、彼らの音楽性が認められることになった。さて、ここでヘヴィメタルという音楽について話をしていこうと思う。ヘヴィメタルを実際に聴いたことはある人はいると思う。筆者も何度か耳に入れた事はあるが、その異質な音楽性は子供の頃には到底理解することは出来ないほど、躍動的かつセンシティブなものだといえるだろう。

ただ元々このヘヴィメタルと言う言葉は音楽の一種として用いられたものではなく、本来は麻薬中毒者の究極状態の事を指しているスラングとして用いられたものだ。直訳しても重金属という、あまりに重い言葉はどう考えても音楽としては不得手だと思っていた人も少なくはないだろう。この言葉が音楽用語の一種として用いられるようになったのは、ブルー・オイスター・カルトというバンドがおり、彼らの音楽性を表現しようとして当時プロデュースしていたサンディ・パールマンが引用したことによって、後に音楽用語として用いられるようになっていった。

その後1980年頃になるとそれは業界全体に浸透し、その後ハードロックという言葉の代わりとしてヘヴィメタルが用いられるようになり、その音楽性が今で言うところの攻撃的で、暴力的な側面を持つ音楽として認識されるようになっていった。語源としてもそうだが、あまり良いイメージがないのは仕方のないところだろう。ただ実際にヘヴィメタルとして活動しているバンドの中には世界的な知名度を誇っている超有名なアーティストが登場するなど、純粋にその音楽性が評価されてのし上がったバンドもちゃんと存在している。

また、アメリカとヨーロッパではそれぞれ特有のヘヴィメタルという音楽を変革して行くようになるが、ここでも国としての特徴が分かれているので興味深いところだ。一例としてあげてみると、

アメリカの場合
見た目が非常に派手でグラマラスなルックスに、過激なのだが基本的に陽気でノリの良いサウンドと歌詞が特徴的な若者向けの文化として大成した。
ヨーロッパの場合
スピード感を重視した歌とメロディックで人気を得ると、透明感のあるサウンドに幻想的かつ、叙情性を含んだ伝統を重んじるヨーロッパらしいヘヴィメタルという音楽を確立した。

こういうところでも国としてヘヴィメタルという音楽はその存在感を確固たるものとしていた。特にイギリスにおけるヘヴィメタルの場合には、『イングヴェイ・マルムスティーン』というアーティストの登場でネオクラシカルメタルというそれまでにない斬新な音楽を確立させることに成功し、彼が披露した楽曲中の速弾きは世界中のギタリストに対して戦慄を与えるほど斬新なものとしてその名を歴史に刻み付けるのだった。音楽にも国としての特徴を出しているので、これも音楽としての醍醐味だろう。

日本においては

そんなヘヴィメタルという音楽は日本において、親しみのないアンダーグラウンドなものとして見られていた。というのも、その暴虐じみた音楽は大衆向けとはとても呼びがたく、また商業的な意味合いとして考えても売れるとはとても思えなかったと認識していた業界関係者がほとんどだった。だからこそ、前述で紹介したLOUDNESSの登場と彼らのライブが完売するほどの盛況振りを見せたときは、まさかと思っていた人が多かったのではないだろうか。彼らの前身であるレイジーでは奇しくもアイドルとして活躍していた、黒歴史を持っているのもそうだがやはりそういう意味ではいたたまれない部分もあったのかもしれない。そして新たな可能性としてヘヴィメタルという音楽が認められるようになるはずだった。

しかしそうした中で、とあるバンドによってヘヴィメタルという音楽がどうしようもなく世間的に歪められてしまったことがある。その原因を生み出したのが、ビジュアル系バンドとしてもその名を知られている『X JAPAN』だ。ファンなら知っているかもしれないが、当時X JAPANの面々は売れなければ意味がないと考えていたこともあり、当時タブー視されていたハードロック系の音楽をする人間が音楽番組以外への出演は暗黙の内に禁止されていたのを破り、バラエティ番組へ出演してその知名度を上げていった。その甲斐あってX JAPANは成功へとその道を形成することに成功するが、同時に彼らがバラエティ番組などに出演したことによって、『ヘビメタ』という蔑称が誕生してしまって業界から厄介者としてのレッテルを貼られることになってしまった。

ただ彼らが成功したことによって、それまで裏的な意味合いとして用いられていたヘヴィメタルも日本で表舞台へと這い上がるようにして見られるようになり、上述のLOUDNESSもX JAPANの元ベーシスト泰司の加入によってアルバムの売上ランキングが最高位2位という、またとない世間へのアピールをなすことに成功した。功罪一端といったところだろうか、それまでの歴史の積み重ねとしてLOUDNESSの方が圧倒的にX JAPANよりも世界的な知名度としては優れているのは明白であるが、その後停滞していた彼らを押し上げたのもレッテルを貼られながらも圧倒的な日本での売上を記録していたX JAPANである事を考えれば、ただ等しく否定的な態度だけを見せるのは少しおこがましいのかもしれない。

初期こそほとんどイロモノばかりだった

ただX JAPANの残した功績はもちろん無視することは出来ないにしても、彼らの登場によってそれまでのヘヴィメタルというバンドスタイルに興味を持つ若者が出始めたが、大半がビジュアルとパフォーマンスだけを重視したものばかりという、実力もへったくれもなかった。ただマスコミからすれば、そうしたちょっと風変わりなものをテレビに映してはやし立てれば視聴率を稼ぐことができるという思考から、ヘヴィメタルという音楽的概念を歪めるのを助長させてしまう。そしてその暴力的な音楽性を嫌って教育機関からはヘヴィメタルを演奏すること、または聴くことを禁止するなどの対策に終わるなど世間を賑わせるようになってしまった。そういう意味では、もしかしたらX JAPANはやりすぎたのかもしれない。

バンドブームこそ訪れ、ヘヴィメタルもX JAPANによってその知名度を向上させることに成功したが、その中でLOUDNESSのような正統派ばかりではない、大半がアンダーグランドで活動しているようなバンドばかりだった。X JAPANとしてもその活動は日本ではカリスマとして讃えられるようになるも、歴史的な一面からすればその内容は決して順風満帆だったとは言えないものだ。だからこそ、そういったことも含めればヘヴィメタルバンドとしてキチンと成功しているのはLOUDNESSを初めとした真面目に音楽性を追求していたバンドだけだったと、そう述べることが出来る。