ニコ生は貴重な活動範囲?

サブカル面でヒットを演出している

ただヘヴィメタルという音楽がどうしても特殊なものとして見られることは固くない。音楽としての一面こそあっても、その内容や様相を受け入れることが出来ないという人がいたとしても、それはいたって大多数という意味の中ではごく自然なこととして扱われることからだ。事実、まだLOUDNESSのように世界的に認められて現在まで活動を継続している、といったヘヴィメタルバンドの存在は極めて珍しいことだったりする。X JAPANにしても日本ではヒットを繰り出したが、その後世界に進出するまでに一度解散するなど順調に成功を重ねていったとは言えない歴史を持っている。そしてメタル系バンドとしてそれこそ数える事の出来ないバンドが登場していたが、時代は既に乗り遅れた異物として見なす風潮が根付いており、期待されながらもその道を断たれてしまったバンドがあってもおかしいところではない。中にはまともに演奏が出来るような場所さえ確保できないままに、バンドそのものが自然消滅してしまうというような時代を90年代では繰り広げていた。そうなると生き残る術としてまだ大衆の関心を惹くことが出来る音楽へとシフトチェンジすることを余儀なくされた、といったところだ。

また、生き残りをかけてヘヴィメタルを娯楽文化として当時はまだマイナージャンルとして見なされていたアニメソングとコラボするなどして、新ジャンル『アニメタル』なる音楽を作り出すなど需要の可能性を少しでも示唆することに成功するなどしている。ただこのアニソンを取り入れたヘヴィメタルバンドは珍しいことではなく、アニメの主題歌に用いられてその名を知られるようになったヘヴィメタルバンドもあるくらいだ。

かつてX JAPANやLOUDNESSのような全盛期における人気を取り戻すことは出来なかったにしても、アニメタルの登場によって勢いを取り戻すことに成功したヘヴィメタルという文化もまたその存在感を無くす事無く現在まで、地位を保ち続けている。それまでヘヴィメタルを知らなかった世代にもこんな音楽ジャンルが存在するのだと証明できた辺りが、良い例だろう。

ニコニコ動画という表現の場

そんなヘヴィメタルという音楽ジャンルを表現する場としてライブ活動はもちろん含まれているが、これもやはり現代ならではのツールとして用いられているインターネットを介した不特定多数の人間に放つ動画サイトを通じての、音楽配信を行う手段だ。その代表的な例としてはニコニコ動画だ、ここではいわゆるアレンジシリーズ、または歌ってみた、演奏してみたなどの動画を投稿することによって中々ヘヴィメタルという音楽を愛しているのに、その感情を表に出して叫ぶことが出来ない人にとっては最高のはけ口として用いられることとなる。その利用度についてはここで今更言うことでもないだろう。実際にプロ歌手を輩出している事を考えれば、人気を得る事が出来れば一気にプロ活動も夢ではないということだ。ただバンドともなればやはり演奏できる場を用意する必要があるので、場所と言う問題は何とかして解消する必要はあるだろう。

また中には自分で歌うのではなく、ボーカロイドに歌わせるなどしていヘヴィメタルという文化を楽しんでいる人達もいる。まさに千差万別の楽しみ方といったところか、インターネットの普及によってヘヴィメタルという音楽ジャンルも一時期は失墜という可能性も考えられていたことを思えば、目に見えての復活を果たしているといえるだろう。

ニコニコ生放送には、数多くのコミュニティが存在している

このニコニコ動画、特にニコニコ生放送においては同じ音楽を好んでいる人達が集合しているといったコミュニティが形成されている。しかもそれは1種類ではなく、きちんとヘヴィメタルという音楽の中でも、特にこういったものが好きという風に分かれているのも特徴だ。放送されている内容についてもデスメタルという王道中の王道を行くものもあれば、中には日本風ヘヴィメタルを演奏しているといったところもあるので、その魅力は事欠くことはない。

放送を配信している側でも共通していることだが、一方で視聴者の中にはヘヴィメタルというものに対して深い知識を持っている人ももちろんいる。そうした人達による情報交換の場として用いられており、まだファンになったばかりという人にしてみればコアな内容と取れるかもしれないが、楽しみ具合としては底知れぬところでもある。この中にはあくまでメジャー級以外の、インディーズとして活動しているバンドを応援しているコミュニティも存在しているので、同じ音楽を好きな人と交流することができるという意味では、マイナージャンルとしてどうしても数えられるヘヴィメタルという音楽において、ニコニコ動画は救世主のような存在であると書いてもおかしくはない。

メジャーレベルでも、宣伝を込めて

インターネットが確実にその枠を広げていったことで、企業や一部のメジャーバンドなども宣伝目的としたツールとしての利用をするようになった。その中にはLOUDNESSも含まれており、彼らのアメリカ公演を実際に放送するなどと利用している。更にその他メジャーレベルで活動しているバンドなども積極的に自分達の音楽性を理解してもらうためにと、ニコニコ動画を利用する事が増えていった。やがて企業としても、レコード会社大手ワーナー・ミュージックに所属しているヘヴィメタルバンドの特集をして特番放送を行っているなど、もはや単純なファン同士のふれあいの場として用いられるだけの場として機能するばかりではない事が証明されている。

どうしても聴いてもらえる固定層が限定されていることを考えれば、まだ少しでも興味を持って軽く覗いてくれるなどしてくれれば、新境地開拓に繋がるのでそういう意味ではヘヴィメタルなどのマイナー系統になりがちな文化にとって、インターネットの普及は衰退から逃れる鍵なのかもしれない。